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青木建設
質問の多い工務店
最後にたどり着いた工務店は、質問の多い工務店でした。
はじめての家づくりは、不安から始まった。
妻の要望、溢れる情報、限られた資金。何件も工務店やハウスメーカーを回るが、理想の図面は出てこなかった。
自分ですら理想を描けてないんだから当たり前だ。
最後に訪れた工務店は、とにかく質問が多かった。
妻が欲しがったアイランドキッチンも、ぼくがなんとなく憧れていた庭でのバーベキューも、「 どんな使い方をしたいですか?」「どんなところに憧れていますか? 」と問いかけられた。
質問に答えるたびに、なんだかと自分達の理想が見えてきたような気がした。
出してくれた図面には、少しずつ浮かんできた理想の未来がそのまま描かれているように感じた。
10年が経った今でも、たまに思い出す。「今思うとあっという間だったね」と対面式キッチンで妻が笑う。何度も通った青木建設。そこで出してもらったすだちスカッシュ。
あの時一緒に作っていたのは家だったのか、ぼくたちの理想だったのか。
夏に冷えたすだちスカッシュを飲むと、青木さんの顔を思い出す。